過呼吸が発生する仕組みとは!?
過呼吸のしくみが分かると、発作が起きても慌てることなく対応できるようになりますので、ここでは、過呼吸が起きるしくみをお話ししましょう。
酸素を運ぶヘモグロビン
ヘモグロビンが少ないと、貧血になりますよね。
私もこの十年ほど貧血に悩まされています。
さて、ヘモグロビンは血液の流れに乗って酸素を体のすみずみの細胞に送り届け、その代わりに二酸化炭素が血液の中に取り込まれます。
二酸化炭素は血液とともに肺まで戻り、呼気として排出されます。
大事なのは、ヘモグロビンは二酸化炭素と出会うことによって初めて酸素を切り離すことができるということです。
過呼吸は二酸化炭素不足
では、ここに何らかのストレスや緊張が加わるとどうなるでしょう。
呼吸が早くなり、酸素がたくさん肺の中に入ってきます。
そして二酸化炭素がどんどん出て行ってしまいます。
その結果、血液中は完全な二酸化炭素不足に。
このとき、体を守るために脳の延髄からは呼吸を止めろという命令が出ます。
ところが・・・私たちの意識を作る大脳皮質は、呼吸ができなくて苦しいと感じてしまいます。
そしてもっと呼吸しなくちゃと勘違いをする。
これが「過呼吸」という状況です。
二酸化炭素の不足状態をストップさせるために呼吸を止めようとする防御反応が息苦しさとなって現れるのです。
さらに、過呼吸のときは体の血管が異常に収縮するので、細胞に送られる血液の量そのものが少なくなり、ますます細胞に酸素が行き渡らなくなってしまいます。特に収縮が大きいのは脳の血管なので、息苦しさ、めまい、筋肉のこわばり、体のしびれなどを感じることになります。
喘息と比べると・・・
でも、心配しないでくださいね。
過呼吸による酸素の減少は生命に危険を与えるほどではありません。
例えば、喘息と比べてみましょう。
喘息とは、何らかの原因で気管支が炎症を起こして気道が狭くなり、呼吸困難になる状態です。
血液中の酸素が少なくなりますので、ただちに気管支拡張剤を吸入し、ときには点滴を行い、気管支を広げる処置を行います。
処置が遅れると呼吸困難やチアノーゼが起こり、体全体への酸素の供給が遅れ、生命が危険にさらされることも珍しくありません。
我が家の子どもたちも喘息の発作を起こして24時間点滴のために入院したことが何度もありました。
でも、過呼吸による酸素の減少量だけを見るなら、生命に危険が及ぶほどのものではないのです。それよりも過呼吸の場合は、心理的に起こる急激な恐怖感が問題になります。